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 誰もがうまくなりたいと思っていろだろう,けれども、なかなかうまくならないというもどかしさを誰もが感じている。それはギターをはじめたばかりの人だけでなく、何年もギターを弾いてきた人もいっしょである。そこで、誰もが経験しそうな、ギターに関する疑問や悩みを少しでも緩和しようということで、いろいろ書いてみようと思う。 中には不安をあおるようなことも書くかもしれないが、ギターについて考えるきっかけにしほしい。


〜調弦のはなし〜


(1)調弦の難しさ

 調弦がうまくできないと嘆いている諸君、安心してくれ。結論から言ってしまおう。 ギターという楽器は、構造上、どうしても完全な調弦が出来ない楽器である。 だから、初心者ができないのは当たり前なのである。 実際に自分も、かなりいいかげんな調弦(全体として半音くらい下がっていたこともある。)で練習していたし、 調弦に気を使うようになったのは、大学に入ってからである。 私が調弦の難しさを実感して、チューナーを買うまでのいきさつを話そう。
 あれは私がまだフレッシュマンだったころ、「いけにえ(全員の代表で演奏する晒し者)」としてKさん(コーチ)の前に出され、エチュードを弾こうとしたときである。 いきなりKさんは私のギターを取り上げ、調弦をはじめた。演奏どころか、調弦から直されてしまったのである。 実はこの直前、「いけにえ」だと言うので、いつもよりも念入りに調弦していたので、けっこうショックだった。 この頃の私は、ハーモニクスが完壁な調弦法だと信じ込んでいたから、先輩に、「ハーモニクスじゃ合わないよ。」と言われても全然信じようとしなかった。 実際「いけにえ」の前の調弦は、ハーモニクスで調弦していたのだが、この日をきっかけに、ハーモニクス絶対主義から決別し、とりあえずチューナーという文明の利器に頼ることにしたのである。 しかし、チューナーがなくては調弦できないというのでは不便だし、ハーモクスによる調弦に代わる、 可能な限り正確な、Kさんに不快感を与えないような調弦ができるようになりたい、という思いで、調弦の研究をはじめたのである。

(2)調弦の方法とその欠点

 ここでは、いくつかの一般的な調弦法と、その欠点を指摘したいと思う。前にもいったが、ギターは完壁な調弦のできない楽器なので、その点を考えながら、人に不快感を与えない程度の調弦ができるようにしようというのがこの文の主旨である。 少々(かなり?)厳しい話もするが、ある程度ギターをさわっている人には理解できると信じている。

@ピアノやオルガンを使う方法
 ピアノやオルガンを使って、1弦をE(ミ)の音に、2弦をB(シ)の音に、3弦をG(ソ)の音に、4弦をD(レ)の音に、5弦をA(ラ)の音に、6弦をE(ミ)の音に合わせる。ただし、この方法には、ピアノやオルガンなどの楽器があるところでないとできないし、また、他の楽器の音でギターの音を合わせるために、相対音感が必要である。 私もそうだが、相対音感に自信のない人には結構きついから、特に初心者には薦められない。

A調子笛(ピッチパイプ)を使う方法
 ピアノやオルガンに代わるものとして、調子笛(ピッチバイプ)を使うという手もある。 これは、ギターの開放弦に対応する音だけ出るハーモニカみたいなもので、私も一時期使っていたことがある。 しかし、この方法も@と同様に相対音感が必要であるし、また、調子笛自体の音が不安定だという話もある。 それに何と言っても使いづらいし、おもちゃみたいで頼りない。これから使ってみようとしている人はやめた方がいい。

B調弦の基本
 次の方法が最も一般的な方法だろう。音叉を使って、5弦の開放弦の音を、A(ラ)の音に合わせる。 次に5弦の5フレットを押えて出した音に4弦の開放弦の音を合わせる。 以下、同じようにして、4弦5フレットに3弦を、3弦4フレットに2弦を、2弦5フレットに1弦を合わせる。 そして最後に、6弦の5フレットを押えてだした音を5弦の開放弦の音に合わせる。
 文章で書くとややこしいが、いつもみんながやっている方法なのでわかると思う。 この方法の問題点は、気がついている人もいるだろうが、5弦から順番に隣の弦を合わせているうちに、だんだんとズレが大きくなってしまうということだ。 5弦を使って4弦の音を合わせるが、そこでうまく合わせられなければ、そのズレは3弦を合わせる時に影される。 そしてそれを繰り返せば、1弦の音は、全然違う音になってしまう。うまくなればかなり防げるが、最後の微調整は欠かせないだろう。
 しかし、多くの人が苦しんでいるのはこのことではないだろう。 何ができないかって、5弦の開放弦の音を音叉で合わせられないのである。 ここで思い出してほしいのが、音叉に書いてあるA−440という文字である。 これは言うまでもなくその音叉で出せる音であるが、この音は、ギターの音で言うと、5弦の開放弦の音ではなく、1弦の5フレットを押えて出した音なのである。 それでは5弦の開放弦はどうなっているのだろうか。 実は、5弦開放弦のAの音は、音叉で出したAの音(440へルツ)の2オクターブ下のAの音(110ヘルツ)なのである。だから合わせにくいのも無理はないのである。そこで、どうしたらよいかというと、5弦の5フレットのハーモニクスの音で合わせるのである。ハーモニクスでは合わせられないと前にいったが、この場合は問題がないので大丈夫である。また、すべての調弦に言えることであるが、必ずゆっくりと音を上げながら合わせること。下げながら合わせると、不安定になってしまう。

Cハーモニクスを使った調弦
 ある程度ギターに慣れてくるとどうしてもやりたくなるのが、ハーモニクスを使った調弦である。 この方法だと、フレットを押えながら調弦しなくてすむので、少しだけ手間が省ける。 また、ギター経験者だということをまわりに誇示することができるので、ちょっとだけ優越感に浸れる。 しかし、前にも書いたが、ハーモニクスでの調弦は不完全であるが参考までにその方法をあげておく。
 まず、5弦の開放弦の音を、A(ラ)の音に合わせる。 そして、5弦5フレットのハーモニクスの音に、4弦7フレットのハーモニクスの音を合わせる。 同じようにして、4弦5フレットに、3弦7フレットを、3弦4フレットに2弦5フレットを、2弦5フレットに1弦7フレットを合わせ、そして、5弦7フレットに6弦5フレットを合わせる。 人によって少し違いはあるが、この方法でいちおう合わせることができる。 しかし、この方法ではどうしても合わないのである。その説明をこれからしようと思うが、少々難しい話になるので、面倒くさい人はとばした方がいいと思う。 暇な人は参考までに読んでみてくれ。
 結論から言うと、平均律の楽器を純正律によって調弦しようとしているためである。 「なあんだ、そうだったのか。」と納得できる人はいなかったとして話を続けよう。
 まず、平均律と純正律について手短に説明しよう。 平均律とは、基準音と、その2倍振動の音との昔程(1オクターブ)を12等分して12の半音階を作り出すものである。 ギターのフレットを思い出してみよう。 各弦の12フレットの音は、開放弦の1オクターブ上の音であり、どの弦でも1フレットずれると半昔(ちょうど100セント)違っている。 つまり、ギターは平均律の楽器である。純正律とは、オクターブについては平均律と同じであるが、その他の音程は、振動数の比が理論的に正しくなるように決めたものである。 そのために、平均律の半音と、純正律の半音は、まったく違う(30セントの差ができる)こともある。 詳しく知りたい人は音楽の辞典で調べてみてくれ。
 このことを頭の片隅にいれて、実際に調弦してみよう。まず5弦を音叉で合わせる。 5弦5フレットのハーモニクスの音は、5弦の開放弦の昔の2オクタ一ブ上の音だから問題はないが、4弦7フレットのハーモニクスの音は、 4弦開放弦の純正律による完全5度上の音であるために、ギターで使用する平均律による完全5度上の音よりも少し高いのである。 よってハーモニクスで調弦すると、4弦開放弦の音は少し低く調弦される。 3弦を合わせる時にもこれは当てはまるため、3弦の開放弦の音は更に低い昔で調弦される。 また、3弦の4フレットのハーモニクスの音は開放弦の音に対して純正律による長3度上の音で、完全5度音程とは逆に平均律による長3度上の昔よりも低い音である。 よって、あらかじめ低く調弦されている弦から低い音が出るために、2弦は更に低く調弦されることになる。 1弦と6弦も同様なので省路する。
 そういうわけで、格好つけてハーモニクスで調弦しても、実際には全然あっていないのがおわかり頂けただろう。 (わかんね一だろうなあ。)

Dチューナーによる調弦
 調弦はまったくの初心者には至難の技である。 初心者は、調弦に時間をかけるよりも、実際にギターを弾いていた方が、楽しいし、上達するのも早い。 せっかくギターをはじめようとしているのに、調弦でいやになっては何もならない。 かといって余りにもいいかげんな調弦では、気分よく練習できないだろう。 そこで、調弦法はひとまずあとにして、チューナーを買おう。余り高くなくても十分である。 正しい調弦で気持ちよく練習しよう。

E裏技による調弦
 自分の部屋で練習しようという時に、手元にチェーナーがない時、部屋が散らかっていて音叉が見つからない時など、私はやったごとがないが、次のような方法もあるそうだ。 電話機の受話器をあげると、「ツゥー」という音がするが、この音に3弦12フレットのハーモニクスの音を合わせる方法。 また、時報の音はすべてAの音なので5弦を合わせることができる。

(3)私の調弦方法

 それでは、私がどうやって調弦しているか気になる人もいるだろう。 ここまで偉そうなことをいっているのだから、さぞ立派な調弦をしているのだろうと思っているだろうが、はずかしながら、基本的にはチェーナーを使っている。 私は数年前、オープンチューニングに凝っていたため、覚える曲はほとんど変則チェーニングであった。 (6弦をDに下げることはよく知られているが、他にもオープンDや、オープンG、更にはオープンD6なんていうのもある。) だから、クロマチック・チューナーでなったのである。
 チューナーが手元にない時はどうしているかというと、基本的に調弦して、最後に微調整している。 実はこの微調整にちょっとしたコツがある。独奏と重奏では少し異なるし、弦の善し悪しでも変わってくる。 独奏の時には、曲によって、平均律と純正律をいっしょに使うというむちゃもする。(その理由は秘密である。) 私がいつも調弦の時に必ず気をつけていることはというと…、もうハーモニクスは使わないことにしている。

文:管理人の友人